県立茂原樟陽高等学校

所在地
千葉県茂原市上林283
交通
JR外房線茂原駅・新茂原駅下車、徒歩25分。
ホームページ
http://cms2.chiba-c.ed.jp/mobarasyouyou/

生徒見守るクスノキ並木

 平成18年4月に旧県立茂原農業高等学校と旧県立茂原工業高等学校が統合して誕生しました。農業と工業に関する総合技術高校です。現在は生産技術科、生産流通科、緑地計画科の農業3学科、電子機械科、電気科、環境化学科の工業3学科があります。すべて1学科1クラス規模で全18学級、720人の生徒が勉学に励んでいます。

 使用しているキャンパスは、旧茂原農業高校の敷地と校舎です。統合当時、工業科の生徒は旧工業高校の校舎で学んでいましたが、平成22年度に工業実習棟が完成して、文字通り完全統合を果たし、一つの校舎で全生徒が学校生活を送れるようになりました。

 学校のシンボルは、正門に続くクスノキ(樟)の並木です。高校では珍しい壮大な景観をなしているこの木の名前が校名に反映されています。

 将来、地域で活躍する産業人育成が目指されています。専門の基礎を軸に総合技術を学んで資格や検定、さらにはコミュニケーション力を身につけた生徒を社員にほしいという県内企業が多く、求人数は県下トップクラスです。

 県立学校開放講座として、生産技術科2年生の野菜部門生徒10人と市内の一般の方たち10人がともに野菜の栽培や漬物などの加工実習を行っています。

 火曜日の午後の総合実習で、高校生が異世代の方たちとともに、汗を流しています。加工実習は2学期の10週に渡って行われ、ダイコンを中心として栽培し、最後はタクアンづくりで終わります。

 部活動では射撃部が全国レベルです。かつては国体や総合体育大会などでの個人優勝もあり、卒業生も活躍しています。技術高校らしく、農業系の研究や発表を行う農業クラブ大会や、工業技術を競う総合技術コンクールでも優秀な成績を収めています。

弁当持参、高齢者見守り隊

 学校で学んでいる技術を生かして、生徒たちは社会貢献に取り組んでいます。

 生産技術科2年生が学校の水田で栽培したコシヒカリを給食用食材として県立長生特別支援学校に提供。生徒が支援学校の高等部生徒と給食をともにし、食の交流をしています。今年は田植えや収穫なども共同で行うことを計画しています。

 生徒が学校で栽培している野菜のうち、販売できない規格外野菜を高齢者への給食を手がけている茂原市福祉協議会市民ネットワークに無料あるいは廉価で引き取ってもらい、出来上がった弁当を持参して生徒が近隣の独り住まいの高齢者の方々を一軒ずつ訪問、高齢者の方たちと会話を交わして様子を見守っています。高齢者見守り隊と名づけられています

 電子機械科3年生の生徒は車椅子を修理して海外に送る「空飛ぶ車椅子づくり」運動に参加しました。

 1年間かけ、生徒の手で念入りに修繕された3台の車椅子はボランティア団体に引き渡されました。生徒たちが心を込めて修理した車椅子が、海外の身障者を支えています。

地域から信頼される学校 生徒会長・薦田凌

 茂原樟陽高校は、地域との結びつきがとても強い学校です。小学校への野菜講座、一般の市民といっしょに生徒が学び、教えていくことができる開放講座、福祉協議会の方と駅前ロータリー花壇を植栽したり、特別支援学校の生徒とともに給食をいただく「食の交流会」などを実施しています。

 授業や実習には多くの生徒たちも真剣に取り組んで、学校の様子はたいへん明るく落ち着いています。

 文化祭には、今回も4千人以上の方が来られました。地域から見守られ、信頼される学校だと思います。

校長の声

 齊藤郁夫校長 本校は、地域の農業や工業など産業の基盤を支える優秀な人材を統合前から輩出し、卒業生5万人以上を数える伝統的な専門高校です。

 今後、時代の変化の中で、就職や進学でも実績のある本校の持つ力を将来どのように発揮していくかはとても大きな課題です。基本的には、各学科の持つ専門教育の力をもっと発揮させる、部活動を始めとする特別活動で、生徒たちがさらに意欲的になり、成果が出てくること、そして、何より実践力とコミュニケーション能力を身につけた社会人の育成を図ることが重要であると考えています。