日本初「バーチャルスクール」 アバター使い学校生活 明聖高校が「サイバー学習国」開校

ネット上の学校に通い、クラスメートと会話を楽しめる「明聖サイバー学習国」

 千葉市中央区の通信制高校・花沢学園明聖高校(花沢悟史校長)が、日本初のネットで高校卒業資格を取得できるバーチャルスクール「明聖サイバー学習国」を4月に開校する。ネット上の仮想学校に、生徒が自分の分身になる「アバター」を通わせて、学校生活を疑似体験。ひきこもり、不登校など学校に通えない生徒が、高校生活を実感できる環境をつくり、学習に取り組む意欲を高めて、卒業資格の取得を目指す。同校は「どうしても通えない。でも本当は通いたい」と悩む中学生に、全日制でも通信制でもない、新たな選択肢を提供すると説明している。

 「学習国」は、ゲーム会社に開発を依頼して本格的なソフトを制作。アバターや施設のデザインは系列校の千葉デザイナー学院を卒業したイラストレーターも参画している。校舎、教室などのほか、農園、釣り堀があり、生徒一人一人が自分の「島」を持ち、好きな家を建てられる。

 アバターは「家」から学校に通い、教師やクラスメートとの会話を楽しめる。また活動で得られるポイントを使って校内の「購買」で買い物ができる。アバターは顔、髪型、服装などを好きなようにアレンジする。開校後は生徒たちの要望を反映させて、新しい施設を増やし、教育コンテンツの充実を図っていく計画。

 授業はパソコン、スマートフォン、タブレットに配信される動画で受け、テストもできる仕組み。生徒の学習意欲を高められるように、同校の教師陣が工夫を重ねて、親しみやすく、分かりやすい動画を制作する。勉強だけでなく、生活の悩みも教師と相談できる。

 「学習国」を担当する同学園の辻村直之理事は「ネットで授業する高校はあるが、学校自体がネット上にある形は日本初」と話す。通常の通信コースではスクーリングで年間20日の登校が必要だが、「学習国」は4日。「20日間の登校が難しくなっている。人とつながり、生徒に『自分は高校生なんだ』と実感してもらうことが大切。最終的な目標は社会参加だが、まずできるところからスタート」

 昨秋、構想を発表すると、中学、高校生だけでなく、さまざまな事情で高校を卒業していない社会人や主婦から、「働きながら、楽しく『通えそう』」と問い合わせがあったという。年齢は問わないため、もちろん入学は可能だ。

 現在、生徒を募集中。開設初年度の新年度は文科省の支援制度と同校独自の減免措置により、授業料が実質無償(世帯年収などで支援金対象外の場合を除く)になる。問い合わせは、電話043(225)3185。また今月中旬に実施する体験入学の参加者を10日まで募集している。エントリーはhttp://www.meisei-hs.ac.jp/cyber/trial/から。