「命あれば、強くなれる」 岩手の震災語り部が講演 香取・栗源中

東日本大震災や防災の大切さなどを説明する震災語り部ガイドの佐々木さん(左)=24日、香取市岩部

 香取市岩部の市立栗源中学校(須藤壮輝校長、生徒91人)の文化祭で24日、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県宮古市の震災語り部ガイドによる講演会が開かれた。参加した生徒や地域住民らは、ガイドの佐々木純子さん(53)の大震災の体験に耳を傾けたり、一瞬にして多くの命を奪った大津波の映像に触れたりし、自然災害の脅威や防災意識を再確認した。

 講演は、同校体育館が改修工事を行っているため、近くの小学校体育館で実施。今年8月に須藤校長が宮古市の田老地区を視察研修で訪れた際、現地で「学ぶ防災ガイド」として活動されている佐々木さんの防災ツアーを受け、「生徒たちにも田老地区の住民の震災経験や被災地の現状を伝えられたら」と感じ、佐々木さんに栗源中での講演を依頼し実現したという。

 佐々木さんによると、田老地区は明治や昭和の三陸地震の津波で甚大な被害に遭った経験などから「万里の長城」とも呼ばれる巨大防潮堤を築いた「防災の町」として知られていたが、4年前の大震災で再び大津波で防潮堤が破壊され、地区住民約4400人のうち、計181人が死者・行方不明者となったという。

 講演で佐々木さんは「災害が起きたら逃げるのが基本。大震災でも助かった命はたくさんあった」と訴え、「自然災害の脅威に対し、人は無力だし、太刀打ちできないが、震災で傷ついた人の心を強くしたのも、やっぱり人だった」と強調。体験者にしか語れない震災での教訓として▽今までが大丈夫だからこれからも大丈夫とは限らない▽集団に同調しない▽専門家の意見でも、うのみにしない-などと時折、声を詰まらせながら語り続けた。

 講演後、生徒たちによる感想発表も行われ、参加者全員で防災への意識を高めた。3年の斎藤詩音君(15)は「映像を見て、津波の怖さをいま一度分かった。靴の脱ぎ方や車の駐車向きなど細かいことで生死を分けることもあるんだと感じた」。3年の斎田りなさん(15)は「私も町に大きな防潮堤があったら、田老地区の住人みたいに、津波に対して安心してしまうかもしれない。まずは自分の命を守ることが大事なんだと思った。きょう聴いたことをきょうだいにも伝えたい」と振り返った。