「三曲」の世界体験 千葉県の伝統芸能事業で 八街・朝陽小

演奏家の指導を受けながら箏を体験する子どもたち=30日、八街市八街

 小中学校の児童・生徒に日本の伝統芸能に親しんでもらう千葉県の本年度の「伝統芸能ふれあい体験事業」が始まった。30日、八街市立朝陽小学校の児童が「三曲」の箏(そう)や尺八を体験したほか、演奏を鑑賞し、邦楽の世界に触れた。

 同事業は2009年度からスタート。和楽器に触れる機会の少ない子どもたちに実際に体験してもらい、関心を高めてもらう狙い。本年度は18校で「三曲」「能楽」を実施する。

 朝陽小では5、6年生約200人が参加。県三曲協会が派遣した演奏家13人の指導を受けながら、箏や尺八の特徴や音の出し方を学んだ。

 子どもたちは、爪ではじけば音が出る箏とは異なり、なかなか音が出ない尺八には悪戦苦闘。テレビで邦楽演奏を聴いて興味を持っていたという6年生の横森大悟君(12)は「尺八は最初難しかったけど、コツをつかんだら音が出るようになった」と喜んだ。

 船橋市の尺八師範、池谷直也さん(76)は「30分や1時間の体験で吹けるようになることはないが、まずはやってみることが大事。本格的に始める子どもが一人でも出てくれれば」と話していた。

 最後は演奏家たちが箏、三味線、尺八の合奏を披露。「春の海」などの名曲の熱演に、子どもたちは真剣な表情で耳を傾けていた。